症例報告

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抗てんかん薬(ゾニサミド)が誘因と考えられる血小板減少症の一例

本症例報告のあらまし

わんちゃんに発症する「てんかん」の治療には、現在ゾニサミドというお薬が最も一般的に用いられています。ゾニサミドはごく稀に血小板減少症を引き起こすことが知られ、今回当院においてゾニサミドを服用中に血小板減少症を示した症例がありましたので報告致します。

患者さんの情報

○7歳8ヵ月齢 未去勢雄 アメリカン・コッカー

  • 頭部にできたイボを切除する手術の手術前の検査として血液検査を実施しました。
  • 1年半前からてんかん様発作があり、ゾニサミドを服用していました。

イメージ
本症例の写真

検査でみられた所見

  • 血液検査で重度の血小板の減少がみとめられました。 血小板は通常1μl中に15万〜50万個あるのですが、2万個以下にまで減少していました。(写真@)
  • 血小板が関与するその他の検査に明らかな変化はなく、 血小板減少が原因となるような止血異常、紫斑(出血性のあざ)などの症状もまだみられていませんでした。

初日の血液塗沫像
写真①;初日の血液塗沫像
血小板(下図矢印先)はほとんどみられない

治療と経過

  • 血小板減少の原因には、免疫が関与した特発性血小板 減少性紫斑病がもっとも一般的であるため、その治療として免疫抑制剤を投与しましたが、血小板数は上昇しませんでした。このため、ゾニサミドによる血小板減少症を疑い抗てんかん薬をゾニサミドから臭化カリウムに変更しました。
  • 抗てんかん薬をゾニサミドから臭化カリウムに変更したことにより血小板数は約1週間で基準値以上まで上昇し(写真②)その後は基準値で安定するようになりました。

ゾニサミド変更1週間後の血液塗沫像
写真②;ゾニサミド変更1週間後の血液塗沫像
血小板(矢印先)の増加がみられる

まとめ

  • 血小板減少症は放置すると全身の様々な臓器に、出血による生命にかかわる危険な病態に発展します。今回の症例は治療薬に原因した血小板減少症という非常に稀な病態で、早期診断、早期治療したことにより、幸いにも全身的な症状に発展する前に血小板数を正常に回復することができた幸運な症例でした。